2013年05月13日

弁護士の就職活動について

気楽にブログを書こうと思っていたのですが、新人弁護士の募集を掲示していた関係もあって、しばらくはブログの更新を自粛していました。応募してくれる人が目を通すことを想定すると、あまりアホなことは書けないな・・・ということで、自粛したのですが、予想以上にこのブログに目を通してくれた人は少なかったですね。まあ、ホームページからのリンクもはっていないので、なかなか見つかりにくいかもしれませんが、私の名前を検索すれば、すぐに見つかると思います。それでも、見ていない人が大多数ということは、就職活動の仕方がおかしいのではないでしょうか。

うちの事務所の採用では、日弁連のいわゆる「ひまわり」のサイトに登録しただけで、その他は全く何もしていなかったのですが、それでも約50名もの応募をいただきました。弁護士4年目の1人事務所で事務員もいないという事務所にこれだけの応募があったのは、それだけ弁護士の就職活動が厳しいのだなと思います。「語学力重視」という項目を入れなければ、もっと多数の応募があったのだとも思われ、実際に応募のあった多くは、東大、一橋、慶應など、ロースクール入試に何らかの形で英語を要求するロースクール出身の方が多かったです。司法試験の成績が2ケタの方も5人ほどいらっしゃいましたし、非常に優秀な層の方々にご応募いただいたのは、非常にありがたいことでした。うちのような弱小事務所にもこれだけの応募があるのですから、応募する際にはもう少し考えて応募しないと、面接までたどり着くことすら難しいと思いますし、そのあと内定までこぎつけるのは、極めて困難なことです。にもかかわらず、下手な鉄砲数打ちゃあたる的な履歴書が多かったのは残念でした。

多くの人が誤解しているようなのですが、東大ローなどの一流ローの出身であるとか、司法試験が1回目で二桁の成績であるとか、TOEICが900点以上あるとか、といった事情は、それだけで採用に結びつくような強力な要素ではありません。物理的に全員に会うのは難しいので、最初にスペックをみて足切りをする際に、こうした要素を考慮しますが、より問題となるのは、@あなたが何者で、Aどうしてうちの事務所を志望するのかということです。あなたが目指してきた法曹像と、うちの事務所が求めるものが重なり合って、この人と一緒であれば、お互い、より良い事務所へと向かうことができるかを考えることになります。そのためには、自己アピールと志望動機をしっかり書く必要がありますが、ひどい人になるとこれが3行くらいしか書いていない人もいて、これだと会おうという気が生じるはずがないです。若くてスペックが高ければ、こんな弱小事務所であれば、当然会ってくれるだろうという甘い考えの人が多いです。明らかなコピペの志望動機では、会いたいなどと思うはずがないのです。また、面接までたどり着ければそこで勝負すればよいと思っている人も多いようですが、採用する側は履歴書の段階で優先順位をつけています。とりあえず履歴書を送りまくって面接に呼ばれたらそこで勝負などというのでは、甘すぎます。それでも、面接の前に十分に準備をしている人はまだマシですが、出たとこ勝負となっている人がほとんどです。自分が応募した事務所はどういう事務所なのか、その弁護士はどういう経歴でどんな考えをしている人なのか、今はネットを検索するだけでもかなりの情報が得られるはずなので、それをしっかり入手して検討する必要があります。その程度の準備ができない人が法曹として役に立つとは到底思われません。司法修習をしながら準備をするのは大変だとは思いますが、法曹としてのスタートをきるべき大切な事務所を選ぶ際に、十分な努力をしないで、それこそ、「いつやるの?」ということではないでしょうか。自分探しのいい機会ですので、しっかり自分はどんな人なのか、何をやりたいのか、を見つめてほしいと思います。

就職活動は自分という商品をいかにその事務所に買ってもらうかという、マーケッティングの観点から考えてみるといいのではないでしょうか。みなさん自分のことばかり書いて、相手のことを考えていない人が多いです。あなたを採用することによって、その事務所にはどんなメリットがあるのでしょうか。全くの社会人経験がないのに、私は企業に対して法律を活かしてアドバイスをしていきたいなどと言われても、あなたが何をどうアドバイスできるんだね・・・と言いたくなります。選択法で経済法をやっていました、とか言われても、それがどうした、という感じですね。修習生がいままで勉強してきたレベルの法律知識では、はっきりいって、企業法務としては全く役に立たないという自覚をしっかりともつことが大切です。そして、こんなことを言うと、次に出てくるセリフは、先生のところでしっかり勉強して頑張りたいとか言ってくるのですが、勉強したいんだったら、他でしてくれ、ということだと思います。あなたの勉強のために報酬を払うほど、うちには余裕はないというのが、多くの事務所の本音です。報酬をもらって仕事をするのだという自覚に欠けている人が多すぎます。・・・まあ、うちの場合は、私に教えられることはほとんどない、というのが実情ですが(苦笑)。

某巨大掲示板などをみていると、「公務員最高!」「弁護士なんかになるんじゃなかった!」とか書いている人が散見されますが、そもそもあなたは何をしたいのか、をよく考えてほしいと思います。本当にあなたがやりたいことができそうな事務所をしっかりと探して、そこに採用してもらえるよう、最大限の努力をすることが大切なのであって、「ひまわり」に掲示される事務所に片っ端からコピペの履歴書を送りつけるだけでは、いつまで経っても道は開けないと思います。せっかく修習をしていて、直にいろいろな弁護士や裁判官や検察官など法曹関係者と話ができるという貴重な機会を与えられているのですから、自分の目指すべき道を語り合ったらよいと思います。就職先を紹介してくれということばかり言っていると、逃げ回られるだけかもしれませんが、目指すべき法曹像を語りたいなどといったら、いくらでも付き合ってくれるでしょう。自分が何者かをしっかりと見つめなおし、目指すべき法曹像が固まってくれば、目指すべき就職先もおのずと見つかるのではないでしょうか。厳しい就職状況だと思いますが、修習生の多くは、大学3〜4年生の一般の就職活動をしている人と比べても、はるかに就職に対する努力が足りないので、きちんと努力した人は十分満足のいく就職先を見つけることができると思います。頑張ってください。
posted by いいぜん at 22:38| Comment(3) | 日記
この記事へのコメント
私は法曹とは縁遠いところで働いている流通業のサラリーマンです。大量採用の会社しか経験していないのでわかりませんが先生の経歴等を見させていただいたところ都市銀行大手証券会社などを経験したのちそちらさんに応募しないと技能だけでは難しいと感じました。確かに少ない量の企業情報から見ても私がもし司法試験通ったとしていくら成績が良くても受けることは難しい会社であると思いました。就職は企業研究から始まると教えられました。自己分析ではありません。ただこれも就職活動した私たちだからこそ言えるわけで司法試験に合格することに忙しかった受験生には難関でしょうね。
Posted by 岡本 章宏 at 2013年05月14日 09:35
岡本さん、コメントありがとうございます。社会人経験者については、別途、詳しく書こうと思っていますが、うちの事務所では都市銀行等の経験者は特に求めていませんでした。私と同じようなキャリアの方を採用しても、あまり私の世界が広がるということはなさそうなので、できれば別分野の方がいいかなと思っていましたし、銀行等の経験者であれば、給与水準が高いので、そんな高い報酬を払うのは難しいという理由もあります。さらに、一番大切なのは、その社会人経験を法曹としてどのように活かすつもりなのかが明確でない人が多いです。中途半端な社会人経験なら、まっさらな学生をとった方がいいと思っています。年齢が上の方を採用するのであれば、2年後にはパートナーとして自分で稼いでもらえるような人でないと難しいです。社会人経験者でも、個人事業主になるという自覚をもった方は少ないように思います。
Posted by 飯田善 at 2013年05月14日 12:39
確かに、仰る通りですね。
給料の話一つにしても、自分の働きと給料の額をちゃんと連動させて考えている人は稀で、少なくない人は「こういう生活をしたいからお小遣いを欲しい」という発想で給料の額を考えています。
で、その結果、収入を得る為には努力しなければならないという発想がなくて自助努力をちゃんとしていませんから、修習でも仕事のやり方が身についていません。それで、仕事を覚えるまで養って欲しいと求められても、応じられる余裕のある人は少ないのではないかと思います。給料の提示額の減少の一因はここにあると感じるところです。
逆に、(実務に慣れるまで多少のタイムラグがあるにせよ)ちゃんと営業して仕事をこなしてお金を稼いできてくれる人なら、雇う側も利益になるのですから高待遇で雇ってくれる事務所はいくらでも出てくるかと思います。
Posted by at 2013年05月14日 15:36
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