2014年05月26日

大手法律事務所への就職活動について

 2014年の司法試験も終わって1週間以上が経ちました。試験後はのんびりすごしたいところだと思いますが、既に大手法律事務所の採用活動は始まっています。4大事務所の事務所訪問は、今年は6月2日から始まるようですが、既に受付は開始しているようです。多くの受験生は誤解している人が多いですが、正直なところ、4大事務所をはじめとする大手に就職する方がはるかに簡単です。こうした事務所は多くの人数を採用するので、多少コミュニケーションに難があったってスペックさえそこそこあれば採用してくれることもあります。これが1人しか採用しない事務所だと、そう簡単にはいきません。事務所の格の高さと、就職の難易度は比例しないということを、まずおさえておきましょう。
 大手事務所に入るためにどうすればよいかは、
「大手/外資系法律事務所の事務所研究 、書類・面接、内定オファー受諾の際の留意点 一問一答」
http://www.dlmarket.jp/products/detail.php?product_id=269261
を読んでいただくのが早いかもしれません。この本は若手法曹の目線で大手事務所に入るための秘訣が書いてあります。私はこの本の著者の回し者ではありませんが(仕事上の関係はありますが)、こうした本は類書がないので貴重です。このような本を読んでおくか、せめて一般の就職活動対策本くらいは読んでおきましょう。受験生は就職活動をしたことがない人がほとんどなので、最低限の常識すら欠ける人が多いです。きちんと一般の会社への就職活動をやったことがある友人に、いろいろ話を聞いた方がよいと思います。弁護士事務所の就職活動が大変だと言いますが、一般の会社への就職活動はもっと大変です。一般の学生が準備するレベルのこともせずに、就職が大変だというのはいかがなものかと思います。
 こうした大手事務所に入る気はなくても、今の時期しか見ることができないので、せっせと見に行くことをお薦めします。本来なら高いタイムチャージを請求される偉い先生に無料で会える機会がせっかく与えられているのですから・・・。裁判官や検察官を目指している方も、最近は内定先を確保しておけなどという指導がなされるようですから、その場合の内定先としても、こうした大手事務所の方がいろんな意味でベターです。就職先としてこうした大手事務所が果たしてよいのかという点は、個人的には疑問もありますが、今の法曹の就職難を考えると、さっさと大手事務所の内定をとっておくというのが望ましいのではないかと思われます。司法修習に入ると、またやりたいことが変わってくることもあると思いますが、大手事務所の就職活動は今しかできないので、まずは今できることをやりましょう。
posted by いいぜん at 20:12| Comment(0) | 日記

2014年05月18日

「絶望の裁判所」

今さらながら、「絶望の裁判所」を読んでみました。瀬木比呂志さんという元エリート裁判官の書かれた本で、かなり話題になった本です。「最高裁中枢の暗部を知る」、とか、「裁判所の門をくぐる者は一切の希望を捨てよ!」とか、かなり大げさなことが書いてあるのですが、はっきり言って、とてもがっかりする残念な本です。瀬木さんは優秀な裁判官だと思っていたのですが、こんなエリート裁判官が、社会人の初歩的な常識も持っていないなどということに驚きました。どこの会社でもよいから1年くらい新入社員の立場で働いてみれば、自分がいかに恵まれていたのかよくわかると思います。裁判所とはいっても多人数が働いている組織なのだから、組織としての常識をふまえて行動するのは当然でしょう。この本に書いてあることのほとんどは、一般社会では常識であって、こんなのでいちいち絶望されてしまっては、社会人として生きていくことはできません。逆にこうした感想を持つ方がエリート裁判官であられたこと自体に驚かされました。瀬木さんはご自身でサラリーマンには向いておらず、社会・人文科学の研究をする学者になるべきだったと書かれているのですが、これも大きな間違いです。社会・人文科学の研究者を目指す者が、どれだけの丁稚奉公を強いられるかわかっているのでしょうか。瀬木さんが、裁判所の中で守られて地位を築かれて大学教授に転身されたのは、極めて幸せなことだったのではないかと思います。この本は突っ込みどころが満載ですが、たとえば、「転身に関するいやがらせと早期退官の事実上の強要」などと書かれており、「大学講義の準備のための年次有給休暇の承認願いについて、日にちが多すぎると言い、一度引っ込めろと言った。私は、やむなく、そのことには同意した。」というエピソードを書かれているのですが、これが社会常識に反していることに気付いていないことは極めて痛い話です。私自身が銀行を退職した際は、私しかやっていない仕事を担当していたこともあり、結局、最終日の翌朝午前2時まで働いて引き継ぎをしていました。責任ある立場の人であれば、それが常識であって、こんなところで労働法の基本原則違反とか裁判官の身分保障の趣旨にももとる行為だとか主張するのは、何を甘えたことを言っているのか、どれだけ社会常識がないのか、とビックリします。いろんなエピソードが書いてありますが、大した話は書かれておらず、裁判官はかえって恵まれているなということがよくわかります。今年の司法試験は今日が最終日ですが、裁判官を目指す人はこんな本にとらわれず、ぜひ裁判官になっていただければと思います。
posted by いいぜん at 00:20| Comment(0) | 書評