2013年09月20日

弁護士の就職活動について(その2)

67期の合格者の成績通知が到着し始めたようですので、司法試験の成績についての私見を書いておきます。

採用担当者が司法試験の成績をどう評価するかは、人ぞれぞれでして、いわゆるマチ弁の方の中では、成績通知を要求しないという方もいます。ただし、一般的には司法試験の成績が一番わかりやすい客観的な資料なので、参考にされる方が多いと思います。昔は500人しか合格しなかったのだから、500番以内でないとダメだという人とか、やはり3ケタ順位までかなとか、いろんなところで線を引かれることがありますが、採用における成績通知の使い方は、基本的に足切りの材料にすぎません。私などは単純に総合順位をみるのではなく、民事系の成績を中心にみていました。順位が4ケタでも民事系が150点あればいいかな、といった感じです。良い成績の方がベターなのは間違いないかもしれませんが、足切りを免れてしまいさえすれば、後は他の要素の方が重視されますので、あまり成績に一喜一憂しない方がよいと思います。

法科大学院の成績なんてものは、はっきりいってどう判断したらよいのかわかりませんので、ほとんど気にしていません。そんなものよりも、司法試験の成績の方が客観的に比較ができます。学部の成績などもほとんど関係はありませんが、採用担当者としては自分の出身大学の成績についてはある程度判断がつくこともあり、法科大学院よりもむしろ学部の成績の方を重視する方もいます。その人の地頭(じあたま)の良さは、法科大学院の成績などをみるよりも、むしろ学部がどこの大学かとか、もっと言えば、どこの高校かとかを見た方がわかりやすいともいえます。

成績は足切りを免れるためのものということで、もし成績が悪い人の場合は、一般に公募している事務所だと足切りを喰らう可能性があるので、むやみに公募している事務所に履歴書を送りつけるよりは、何らかの細いツテでもいいからツテをたどって面接までたどり着く努力をした方がよいです。そうした意味では修習地の選択は大きな意味があります。その修習地内でしか採用情報が流れていないことも多いので、もし、修習地が自分の働きたい土地にならなかった場合は、その土地の修習生から情報を得られるようにしておいた方がよいです。そして、いずれにせよ、面接までたどり着いたのであれば、成績のことは忘れて、面接で自己アピールをしっかりした方がよいでしょう。自己アピールは、採用する側のことを考えて、その事務所にとって自分がいかにふさわしいのかという観点からしっかり考えてみてください。

企業内弁護士も視野にいれている方は、いろんな就職エージェントを活用したらよいと思います。履歴書の書き方とか面接の仕方とかを無料で教えてくれるので、あまり企業は考えていない方でも、就職活動に悩んできたら、就職エージェントに相談してみるのもよいと思います。

就職活動にもタイミングというものがあります。応募してきた人の中でよさそうな人がいれば、どんどん会っていって、早めに決めてしまおうとしますので、その法律事務所が募集しているという情報を得たら、早めに出した方がよいです。もちろん、コピペしただけで内容がともなっていない履歴書をだしたらダメですが、早く応募することも才能の一つです。ゆっくり構えているとどんどん機会を逸してしまいます。合格発表後の今の季節は就職活動の一つの山場です。修習が始まってからでは、なかなか自由に面接に行くことができませんし、今の時期には中堅の事務所が募集をかけていますので、積極的に応募するとよいと思います。ただし、今の時期は発表前の4大事務所の採用活動よりも、もっと競争率が激しく就職を決めるのは非常に厳しい時期でもあります。したがって、この時期に就職を決めることは難しいかもしれませんが、ここでしっかり就職活動をしておくことが、修習が始まった後での就職活動に役に立つと思います。
posted by いいぜん at 21:37| Comment(0) | 日記

2013年09月11日

2013年司法試験合格発表

昨日、2013年の司法試験合格発表がありました。合格された方、おめでとうございます。司法修習の申込期間は余裕があまりないし、必要となる書類も多いので、早めに手続をしてください。また、合格発表後に就職説明会などが開催されるところも多いので、せっせといろんな事務所を覗いておくことをおすすめします。競争率が高いところが多いので、そう簡単に内定はもらえないと思いますが、今でないと見ることができない事務所がたくさんありますので、見に行くだけでも何かしらのものを得ることができると思います。
残念ながら不合格だった方は、なかなかモチベーションを保つのが大変だと思いますが、一人で閉じこもるようなことはせずに、いろんな方の意見を積極的にききにいくようにしてください。この機会を逃すと、なかなか合格者の意見を聴くことは難しくなってきます。合格者によって言うことはマチマチだと思いますし、それが自分に合っているかどうかはわかりませんが、まずは、とにかくいろんな人の意見をきくことが大切です。たくさん意見をきいていると、共通項をみつけることができ、これからの方向性が掴めてくると思います。そして、勉強仲間をきちんと確保してください。これから来年の5月まで一人で勉強をするのは孤独ですし、一人だとどうしても誤った方向へ突き進みがちです。答案練習とかゼミをやるのは、週1回程度で構いませんが、定期的に人と触れ合う機会をもつことが大切だと思います。ロースクールの自習室に行ける環境にある人は、この時期に顔を出すのはつらいかもしれませんが、積極的に顔を出すことをお薦めします。今、スタートをきれるかどうかで、大きく差がつきます。
不合格の原因については、いろいろあると思いますが、多くの場合は、勉強の絶対量が不足しています。今年の短答試験で270点以上がとれなかった方は、勉強量が足りないと考えた方がいいです。短答の勉強方法にもいろいろありますが、方法論をごちゃごちゃ考えるよりは、とにかく問題量をこなすことが大切です。量は質に転化します。現在の短答試験のレベルであれば、条文と判例を確実にマスターすれば、270点程度はとれるようになるはずです。中途半端なあやふやな知識をいくら増やしてもダメで、確実な絶対間違わないと言える知識を増やしていってください。
短答試験が270点以上とれているのに不合格になるという人は、論文の書き方の基本的な発想が間違っている可能性が高いので、実際に自分で書いた答案を合格者に見てもらってください。多くの場合は抽象論に終始していて、この具体的な問題の解決に関係ないことを書いています。具体的な事案をしっかりと把握して、事実を評価して、具体的な解決を考えてください。答案を読んでも、具体的な事案が何なのかわからないケースが多かったり、条文がほとんど出てこなくて、これは法律の答案なのかというものも散見されます。
「そもそも〜この条文の趣旨は〜」とか書きだす人がいますが、いきなり趣旨などを書く必要があるはずがないです。まずは具体的事案を条文にあてはめることが大切で、それで困る場合には、その条文の文言の解釈の中で趣旨をふまえて修正することもありえますが、それが最初にくるはずはないです。また、たとえば憲法とかで、原告は厳格審査基準、被告は明白性の原則、自説は厳格な合理性の基準などと書く人がいますが、実際の裁判で、そんなに基準が大きくブレるはずがないです。極端に厳しい基準や緩やかな基準を主張しても、裁判所が採用しなければ終わりというのでは、原告や被告の代理人として失格です。原告も被告も法曹なのですから、そんな無茶な主張をしたら、法曹の資質を疑われてしまいます。もっと具体的事案の評価で争うところがたくさんあるのに、審査基準の空中戦のみをしていたら、点数が入るはずがありません。ひどい人になると、「被告は明白性の原則を採用するので合憲である」といった具合に理由もあてはめもなく、意味不明な反論をしている人がいます。そんなやりとりを具体的な裁判でやるつもりでしょうか。自説でいくらよいことを書いても、それでは不合格です。
なかなか自分では自分の答案の問題点を気づきにくいので、ぜひ他人に見てもらいましょう。そして、逆に他人の書いた答案をいっぱい読んでみるとよいと思います。できれば優秀答案ではなく、普通の答案をみるのがお薦めです。自分の答案のおかしなところは、行間を勝手に補って読んでしまうので気づきにくいですが、他人の答案の粗はよく見えると思います。こういう答案を書いたらダメなのかというのをたくさん読んでみるとよいでしょう。予備校の答練では優秀答案が配布されていますが、予備校の選ぶ優秀答案というのは、知識量が豊富で論点をいっぱい拾っている答案であることが多いので、あまり参考にはなりません。ぜひとも仲間を作って、答案を見せ合って批判し合ってみてください。
posted by いいぜん at 19:18| Comment(0) | 日記